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記者発表会

ダスキンが新規事業のための施設「ダスキンラボ」をオープン

2020.04.26

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生活の”場”に近い施設で生活者の声を感じ取る

ダスキンラボのロゴを掲げる山村輝治社長(右)と高下泰明ダスキンラボ室長(左)

ダスキンは、マットやモップの訪問レンタル事業開始から50年以上を経て、2018年4月からお掃除業だけではなく生活のあらゆるシーンで役にたつ「生活調律業」へ進化を進めている。その第一歩として、5月21日にダスキンラボを大阪府・千里中央にオープンした。ダスキンラボの狙いは、従来のグループインタビューやアンケートでは拾い切れなかった生活者インサイトをダスキン側が「感じ取る」形で吸い上げ、顧客が求める新商品を外部企業と共創することにある。

同社創業者である鈴木清一氏は、母親のために乾式清掃であるホームダスキンを開発した。生活者の利益を優先する思いは今も同社に継承されているが、社会や生活が変化し生活者のニーズも複雑になっているなか実行するのは簡単ではない。ダスキンラボには、本気で生活者と向き合うための拠点としての期待がかかっている。

生活者のニーズを感じ取るための鍵は「行動観察学」にある。4名いるダスキンラボの常駐スタッフ全員がこれを学ぶ。行動観察は「生活現場やサービスの現場、作業現場など様々な”場”において人がどのような行動をしているかを観察し、定性的に事実を捉える手法」(オージス総研)で、無意識の行動や見過ごされてきた事実を把握し、解釈を加えることで潜在的なニーズや課題を導き出すために用いられる。その効果についてダスキンラボ室長の高下泰明氏は、「無機質なグループインタビュールームの中で行うインタビューで聞く回答は本当にそうなのか、と疑問に思うことがありました。ですが、生活者の方が生活の場でお話されることはリアリティに満ちています」と語る。

ダスキンラボの6つのスペースは、生活者が自然体で行動できるように工夫されている。一般家庭をイメージできる「体験スペース」のキッチンや冷蔵庫は段ボールでできており、段ボールを取り替えればリビングや寝室にもなる。また、セミナースペースに置かれた家具もスタッキング可能な可動式で、壁は全てホワイトボードで思いついたアイディアがすぐに書き込める。その他、工作スペースやキッズスペース、ブレイクスペースなどがある。

ダスキンラボのアイディアの書かれたホワイトボード

ダスキンラボは常時開放されているものではなく、一般の人が訪れるにはイベントやセミナーに参加する必要がある。無料イベントは6月下旬から募集を開始し、7月に実施予定。イベント内容は、同社が得意とする清掃やお片づけに関するものや、家事を楽しくするためのアイディアを出してもらうアイディアソンなどから始め、徐々に未知の領域にも取り組んでいく。

すくい上げた消費者の声は江坂にあるダスキン本社の商品開発部に伝えられるほか、ダスキンにはない知見を持つ社外パートナーとも組み、商品開発を行う。山村輝治社長は「生活者の方に実際に自分の声から製品ができたと喜んでもらえたら」と話した。

失敗をおそれず、挑戦を評価

日本企業の多くが新規事業開発に苦戦しているが、新規事業の成功率は「千三つ(せんみつ)」と言われるほど少ない。ダスキンラボのロゴである「1000分の3」は、千里中央の千と、この「千三つ」に掛けられ、997回の失敗することの覚悟があらわれている。

ダスキンラボ内観

山村社長は、ダスキンやミスタードーナッツの成功裏に多くの失敗があったことに触れ、「失敗により評価が下がることはない。挑戦した人は多面的な評価をしていく」と語った。また、「ダスキンラボはあくまでアンテナ」とし、長くて2年は事業面での効果は求めないとした。

ダスキンラボからは失敗を恐れない同社の姿勢が伝わってくるが、恐れないだけではない。失敗を無駄にしないために失敗の学びを共有する「学びの共有シート」を6月から作成し、社内で共有していくという。並行して社内向けのセミナーもラボで実施する。

常駐スタッフの4名は40代50代のベテランが揃う。高下氏は「経験があるから社内の巻き込みができた」と語り、ベテランであることが功を奏した形だ。オープン後の社内外での影響力をどのように発揮できるかが注目される。

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