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イベント(CES2020特集)

ウェイトトレーニングの世界が変わる! IoTトレーニングマシン「ヒガトレック」

2020.04.18

Information
2020.01.05〜2020.01.10

2020年1月7~10日、ラスベガスで「CES 2020」が開催されました。CES(シーイーエス)は、160以上の国や地域から4500以上の企業が集まり、17万5000人以上が来場する世界最大規模の家電・技術見本市です。来場者のほとんどは業界関係者やメディア関係者となっており、その場で商談や取材が行われることも珍しくありません。

 近年、日本企業の進出も目立つようになっており、今年は「CES2020 JAPAN TECH」として、9社が出展しました。その中から、株式会社All You Need Isの「ヒガトレック(Higatrec)」(https://higatrec.com/)を展示していたブースの様子をお伝えします。

大きな「ヒガトレック」を体験できるブースが目立っていました

「ヒガトレック」はウェイトトレーニングの質を飛躍的に向上させるIoTトレーニングマシンです。床板の直径は1.8メートルで、2本の支柱の高さは2.08メートル、重量は330kgという大きさ。支柱の間に金属のバーが渡されており、ベンチプレスやインクラインベンチプレス、スクワット、デッドリフトといったウェイトトレーニングを行えます。

 株式会社All You Need Is 代表取締役CEO 比嘉一雄氏は、「ヒガトレック」の着想は、ウェイトを持ち上げる時よりも、下げるときの方を重くする方法を考えたときに得られたそうです。その結果、電気制御という答えに辿り着いたのです。

 比嘉氏は、福岡県立東筑高等学校を経て、早稲田大学スポーツ科学部スポーツ医科学科から東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系身体運動科学に進み、筋肉について研究を重ねました。同時に、パーソナルトレーナーや研究者として活動し、テレビに出たり、多数の著書も執筆されています。

「筋肉は持ち上げる時よりも、下げるときの方が筋力が強くなります。そこに大きな負荷をかけられると、より効果的にトレーニングができるのです。しかし、自然物理の中ではなかなか再現できません。持ち上げたあと、誰かに押さえてもらったりする必要があります。電気のエネルギーなら、100kgで上げて、140kgで降ろすということが可能になります。効率的に筋肉を追い込めるようになり、「ヒガトレック」により、このトレーニング方法が普通になっていく世界になるのではないかと思っています」(比嘉氏)

株式会社All You Need Is 代表取締役CEO 比嘉一雄氏

そうして開発された「ヒガトレック」ですが、副産物として2つの大きなメリットを得ることができました。コンピューターで制御するので、トレーニングのデータを蓄積できるようになるのです。もう一つが、負荷を電気制御するので、プレートが不要になりました。

 0.1秒単位でデータを蓄積していくので、自己比較や他者比較が簡単に行えます。前回のトレーニングと比べて、よくなったというフィードバックができるのです。実施したトレーニングデータはスマホアプリで確認でき、入力の手間がかからないのは便利です。今のトレーニングの負荷は、世界では何位なのか、ということもわかります。

 重いプレートがないので、アシストをする人が不要になります。バーのポジションは、下限と上限が決まれば、それ以上動きません。トレーニング中にバーベルを落とすという事故も起きないのです。自分の限界重量でも、安全に手軽にトレーニングできるのです。

 実際に、筆者も「ヒガトレック」でインクラインベンチプレスを試してみました。ポジションに着いたら、まずは本気で1回バーを持ち上げます。これで、最大パワーを計測し、続けて5回トレーニングをします。持ち上げることはできるのですが、降ろすときにいきなり重くなります。これが、筋肉に効くのです。たった5回で筋肉がぱんぱんになってしまいました。

安全に最大荷重でトレーニングできるのが特徴です

CES 2020に出展したのは、ここから世界に販売していくためだとのことです。常に人だかりができていた通り、人気は上々でした。「ヒガトレック」はエンターテインメント要素も強いので、ゲームセンターのパンチングマシン感覚で、体験する人が多く集っていました。

 もちろん、ビジネスとしても手応えがあったそうです。比嘉氏が想像しているよりも、大きな組織や企業が興味を持ってくれたようです。また、そんな人たちとの話の中で、防水のニーズも寄せられました。

 ただし、現在はスタートアップのため、どうしても大量生産ができないとのこと。受注生産にはなりますが、すでに受注もあったそうです。もちろん、商談ベースではいろいろなお話が進行中です。

「本当の目的は販売するだけでなく、代理店やディストリビューターといった、間に入ってくれるパートナーを探すことです。日本から製品を送ることはできても、アメリカに来て設置することはなかなかできないためです」(比嘉氏)

 マシントレーニングの世界を変えそうな「ヒガトレック」ですが、その先見性が認められ、CES 2020のイノベーションアワードを受賞する快挙も成し遂げました。

CES 2020のイノベーションアワードを受賞しました

現在は、できるだけ筋肉を大きくしたい、いわゆる“ガチ勢”に人気があるようですが、「将来、データが溜まれば老人の筋力の指標になるなど、ヘルステック分野にも活用できればいいなと考えています」と比嘉氏は語ってくれました。

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