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イベント(CES2020特集)

耳たぶにセンサーを装着することで現場作業員の熱中症のリスクを軽減する「ロブセンス」

2020.04.21

Information
2020.01.05〜2020.01.10

2020年1月7~10日、ラスベガスで「CES 2020」が開催されました。CES(シーイーエス)は、160以上の国や地域から4500以上の企業が集まり、17万5000人以上が来場する世界最大規模の家電・技術見本市です。来場者のほとんどは業界関係者やメディア関係者となっており、その場で商談や取材が行われることも珍しくありません。

 近年、日本企業の進出も目立つようになっており、今年は「CES2020 JAPAN TECH」として、9社が出展しました。その中から、株式会社toyouの熱中症対策を行えるセンサー「ロブセンス(lobesense)」(https://www.toyouiot.com/)を展示していたブースの様子をお伝えします。

株式会社toyouのブース

「ロブセンス」は耳たぶの温度をセンシングすることで、深部体温を測定し、脳の温度を予測するプロダクトです。データをクラウドにアップロードして、AIで解析し、労務管理部門や現場責任者に熱中症にかかる可能性を通知するのが特徴です。

 株式会社toyouは2年前に設立され、主にヘルスケアのIoTデバイスの企画・開発および、実証実験を行っているスタートアップで、「ロブセンス」は、シミックヘルスケア株式会社と共同研究・開発を進めたプロダクトとなっています。

「これまで熱中症の対応としては、現場責任者が注意して確認するという主観的なものでした」と同社代表取締役横山裕明氏。しかし、脳の温度が上がってしまうと、判断力も低下してしまいます。その状態の人に「大丈夫?」と声をかけても、判断できていないので「大丈夫です」と答えて作業を続け、倒れてしまうことがよくあるそうです。

株式会社toyouの代表取締役横山裕明氏(左)とシミックホールディングス株式会社 副会長執行役員 事業戦略推進本部長 桑島洋一氏(右)

この熱中症になりそうかどうかという判断を現場責任者が行うのではなく、AIに担わせれば、事故を防ぐことができます。また、「ロブセンス」は位置情報も取得するので、アラートが出たときに、どこでその人が働いているのかもわかります。従来は、広い工事現場で誰かを探そうとすると手間がかかっていたところが、アプリ上ですぐ確認できるのです。後は、本人もしくは近くにいる人に指示して、空調の効いた休憩室に来てもらいます。

 現場は高齢化が進んでいるそうで、貧血や病気で倒れるということも考えられます。そんな時のために、「ロブセンス」には加速度センサーも搭載されています。転倒を検知するとアラートを出せるのです。まずは、メールでアラートを送るのですが、たくさんのメールを処理していると見逃してしまうこともあります。そのため、一定時間が経過すると、登録している携帯電話番号にショートメールを送るようになっています。

現場のワーカーのHeatStressを計測し、現場責任者に通知してくれます

すでに実証実験は2018年と2019年の夏に実施したそうです。明日ファイルとの再生工場では温度が高く、粉塵が多い環境での耐性をテストしました。倉庫ではきちんと通信できるかどうかを確認。建築現場では水平に広い現場と高層の現場の両方で実験を行いました。

「実験中もアラートが出ました。暑い日がずっと続くときは皆さん熱に慣れてくるのですが、2019年9月6日は1週間前と比べて最高気温がいきなり10度上がって猛暑日になり、たくさんのアラートが鳴りました」(横山氏)

 現場で使ってもらうための工夫も凝らされていました。まずは、電池が半年保ちます。あまり短いと、きちんと交換してくれないことが想定されたためです。イヤークリップを耳たぶに装着すると自動的にスイッチが入るなど、何も考えなくても運用できるようになっているのです。

耳たぶに挟むイヤークリップの重量は11gです

 AIはアラートを出すラインを個別に判断するために利用されています。例えば、気温が37度になったら全作業員の手を止める、というのは現実的ではありません。熱に対する強さは個人差があるそうです。そのため、耳たぶの温度の上昇曲線と気温、湿度のデータを元に、判断するようになっています。逆に、熱に弱い人の場合は、気温が低くてもアラートが鳴ります。

「「ロブセンス」があれば、熱中症での労災事故を限りなく減らすことができます。元々は東北大学の耳たぶの温度と脳の温度が相関するという研究を元にした特許でサービスを構築中で、今年の5月からローンチする予定です」(横山氏)

 CESに出展したのは、「ロブセンス」を世の中に知ってもらう一番の手段だと考えたからだそうです。CESには世界中から業界関係者やメディアが来ます。展示を見た方のリアクションはとてもよかったそうで、頭を使うと脳の温度が上がってパフォーマンスが落ちるとか、耳たぶの温度で脳の温度が推測できる、というところに食いつきが良かったようです。

 今後は、「ロブセンス」のデバイスをさらに小型化し、eスポーツやオフィスワーカーにも出していきたいということです。

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