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イベント(ピッチ特集)

~HR Tech特集~ オンラインスタートアップピッチ&対談イベント

2020.06.10

近年、人材の確保と業務の効率化を推進するためにHRテック業界への注目が高まっている。一口にHRテックと言っても、そのあり方は実に多様だ。今回は、副業/転職キャリアSNS・リファラル採用・オンライン面接と、異なるサービスを提供する3社のオンラインピッチを開催した。

各社7分間のピッチと質疑応答で構成。開催は5月3日の23時とGWの最中ながら100名超が参加し、この業界の注目度の高さが伺えた。

発表者は、株式会社YOUTRUST(ユートラスト)代表取締役の岩崎由夏さん、株式会社リフカム 代表取締役CEO の清水 巧さん、株式会社ZENKIGEN(ゼンキゲン)代表取締役 CEO の野澤 比日樹さんの3名だ。

半クローズドのキャリアSNSで満足度の高い副業/転職を

株式会社YOUTRUSTは、元DeNA採用担当やリクルート出身者が中心メンバーとなり設立されたHRテック企業。同名の副業・転職のキャリアSNSを運営している。

岩崎由夏さん(以下、岩崎さん):求職者のペルソナは、「副業に興味はあるものの、積極的に面接を受けるほどではない」という方です。一方、スタートアップ企業の採用者は、まず友人・知人に依頼し、続いて関係者を介して優秀な人材を求めようとする傾向にあります。また、最初から正社員採用するのではなく、まず副業として仕事を依頼し、ゆくゆくはフルタイム採用というケースも多いのが特徴です。

これまでの副業/転職は、求職者・採用者ともに、知人に尋ねていく方法をとっていたので、効率の悪いものでした。しかし、弊社のサービスでは、友人だけでなく「友人の友人」の範囲からもオファーが届くので、信頼とマッチング率の両方を担保しています。

具体的なサービス内容としては公式リクルーターになると(有料)、①「友人の友人」までの副業/転職意欲を閲覧可能、②直接の友人を介さずに「友人の友人」がスカウトできる(有料会員のみ)、③「転職含め検討中」・「今すぐ手伝える」ステータスになるとメールで自動通知が届く、というものです。また、求職者と同じ職場の人にはステータスが見えない仕組みなので、SNSでの求職に消極的だった方も利用していただけます。

そして今後は、「副業×半クローズドSNS」というポジションから、これまで転職サイトに登録しなかった優秀人材のデータベースを独自に形成し、転職市場への移行を試みています。

半クローズドSNSという特性によるメリットは2点。ひとつは、他の転職媒体にはいない「優秀潜在層」の登録です。今すぐ転職を考えていない優秀層も気軽に登録ができるので、他媒体にはいない優秀人材と接点が持てる唯一のデータベースが形成できます。これは、優秀な人ほど現職につなぎとめられて転職市場に出てこないという現在の問題を解決するものです。

ふたつ目は、人事が大媒体利用において最重視するスカウト返信率が高いことです。採用サービスが概ね3〜7%なのに対し、弊社は平均58.4%。友人の友人ということで、採用者も一斉にテンプレメールをばら撒かず、求職者もきちんと対応するため、高い成功率につながっています。

クライアント・求職者双方の高評価の口コミによって顧客を獲得し、有料クライアントは累計200社超。登録者はエンジニア30%、企画職(PM等)19%、デザイナー9%など、サービス作り人材が58%を占めています。

質問1:登録者にインターネット系の職種が多いのはなぜでしょう?

岩崎さん:特にターゲティングをしているわけではなく、私自身が趣味で Twitterを頻繁に更新していて、そこで親和性の高いインターネット業界の人が最初に利用し、次に口コミが広まった結果、ユーザー数が増え続けています。

質問2:御社のチーム編成を教えて欲しいです。

フルタイムは7人で、業務に関わっている総数は30名です。基本我々も、YOUTRUSTのサービスで集めています。その人々を正社員として口説けるかが、今後の課題かもしれません。

質問3:転職市場を狙う意図は? 今後のサービスの展望を教えて下さい。

採用担当として働いていた頃、従来の転職市場に疑問を抱いていました。求職者の皆さんがフラットに自分の可能性や選択肢を知ったうえで、納得してキャリアを選択できる転職市場にしたいと思っています。

社員が一丸となる、効率的なリファラル採用をサポート

株式会社リフカムは、社員に人材を紹介してもらうリファラル採用を活性化させるクラウドサービスを展開している。

清水 巧さん(以下、清水さん):リファラル採用には、良質な候補者との接点が作れる、採用コストの削減、社内のカルチャーにマッチしやすい、というメリットがあります。しかし、候補者が集まらないことと潜在転職者を動かせないことがボトルネックとなり、実際に運用できている会社は多くありません。その課題解決として、弊社ではアルバイト採用・正社員採用それぞれのサービスを展開しています。

正社員採用のアプローチとしては、①チーム全体で候補者をリストアップ、②チーム全員で候補者にアクション、③候補者の転職アラートを察知して採用に繋げます。つまりは、従来は人事だけが関与していた採用を、社員みんなで取り組む仲間集めに変えるサービスなのです。多くの企業が抱えるリストアップの問題には、海外で利用されているメモリーパレス施策を活用して『前職で優秀だった3名を教えてください』などの内容を社員に投げかけることで、候補者情報の精度を高めています。正社員採用では、人材・派遣系、介護・保育系の領域が現在メインです。

正社員採用の事例として、サイバーエージェントではリフカムの導入により、紹介経由のエントリー数が21倍に増加しました。アルバイト採用の事例では、求人媒体に比べて入社3ヶ月後の離職率が低く、知り合いがいるため長続きするという成果があらわれています。現在は新型コロナの拡大を受けて、エッセンシャルワーカーの採企業にリファラル採用支援サービスを無償提供しています(4月28日〜7月31日まで)。

質問1:リファラル採用が増えていくなかで、入社後の管理システムなど、今後のサービスの拡張について教えて下さい。

清水さん:今後は、友人・知人を紹介したい会社を作るサービスというロードマップを描いています。そのためにまず、リファラル転職した人が会社にマッチし、また知り合いを紹介したくなるサイクルの設計を試みています。

質問2:良い会社でないと知人に紹介しにくいので、良い会社を作るという流れになるわけだと思いますが、人に勧められない会社を改善させるサービスは御社にありますか?

清水さん:リファラル採用への問い合わせがあったら、まず社内で紹介できる候補者数でリファラルスコアを計測しています。その結果が著しく低かった場合は別途、社内改善コンサルティングサービスをすることもあります。ただ、社員の10〜20%でも協力者が居るなら、そこから採用の輪を広げていく取り組みを支援しています。

AIによる感情解析で面接・職場のパフォーマンスを向上

株式会社ZENKIGENは、動画採用面接プラットフォームの開発・提供・運営を展開するスタートアップ企業だ。

野澤 比日樹さん(以下、野澤さん):ウェブ面接ツール「HARUTAKA(ハルタカ)」は、動画による選考機能・オンラインでのライブ面接機能を使った採用システムです。事業背景には、コミュニケーションツールが発達し続けているのに対し、採用方法はこの約20年依然として変わらない現状を変えたいという思いがあります。「HARUTAKA」では、履歴書だけではわからない人柄が動画で見えてくることから、大手企業を中心に累計300社に導入されています。

昨年度は前年比売り上げ3倍超、顧客数約4倍、MRR(月次収益)も約4倍を達成しました。また、働き方の見直しが図られているところに新型コロナ問題が重なり、ライブ面接実施数は2020年の2月時点と比べて4月は25倍に急増。これは新型コロナによって対面コミュニケーションの課題が浮き彫りになり、社会全体がリモートワークの可能性・必要性を考えるようになっているからだと認識しています。

2020年3月には資金8億円を調達し、面接体験を改善する面接官育成AI「ZIGAN」の開発に着手しました。このサービスは、面接官は候補者にとって会社の顔である、という点から構想されています。実際、面接によって会社に悪印象をもつ候補者が多い(en 人事のミカタ調べによると85%)一方で、グーグルやメルカリといった採用力の高い会社では、候補者の面接体験を重要視しています。

そこで「ZIGAN」は、IAに面接のフィードバックをさせることで面接官の対応を改善し、最高の候補者体験を提供できる面接官を育てます。サービス名は「慈しみの眼をもって人を見れば、海のように幸せが溢れる」という意味の禅の言葉「慈眼」に着想を得ています。

欧米のように採用工数削減のためにAIを利用するのではなく、「ZIGAN」では①良好な候補者体験を支援、②人の可能性を引き出す対話を支援、③人を惹きつける面接官の育成を支援するためにAIを活用します。

候補者体験は、動画から候補者の表情・姿勢・発声といった非言語情報を数値化、行動心理学をベースに300以上の特徴を抽出してAIで解析し、「本音が聞ける信頼」と「想いが伝わる尊敬」という高次の感情指標として表出します(※特許出願中 特願2019-196801)。非言語情報は、有名なメラビアンの法則で人の印象の93%を決定づけるほど重要とされているものです。

従来、密室で行なわれる面接では、PDCAサイクルにおけるチェック(C)ができませんでしたが、面接官が候補者に与える印象を可視化することでサイクルが構築され、結果的に採用力強化に貢献できます。現在はPOC(概念実証)の段階ですが、大手通信会社での面接トレーニングは既に実施開始し、面接官・学生の双方に向けたレポートを発行しています。

さらに、「ZIGAN」の職場領域への展開も想定しています。今後、職場領域のあらゆるコミュニケーションがオンライン/デジタル化されるなかで、「ZIGAN」は会議・雑談・商談といった膨大なデータを蓄積できるからです。そのデータから、幸福・信頼・礼儀・ノーストレスといった感情を解析することで、職場のコミュニケーションの質向上を図ります。

「ZIGAN」は、コミュニケーションにおける感情解析・理解をする「アフェクティブコンピューティング」という分野に着目し、日本での第一人者である光吉俊二准教授(東京大学 大学院工学系研究科)の研究室とともに共同開発しています。AIに仕事を奪われる社会ではなく、AIと人が調和し、人間が創造的に働ける社会の実現が弊社の目標です。

質問1:プライバシーなど、録画によって発生する問題にどう対処しますか?

野澤さん:法律の部分は、弁護士とも確認中です。事前に録画への承認をすることで法律上はクリアできますが、倫理的な問題もあるので約20社とPOCを行なう予定です。

質問2:採用側としては、最終面接に近づくほど人材を口説く力も必要となりますが、その点で「ZIGAN」はどう使えますか?

野澤さん:口説くというのは「ZIGAN」において尊敬に分類されるので、フィードバックから尊敬を得られる対応を面接官に学んでもらうことになります。データが溜まるほどフィードバックの精度は高まりますし、面接では事前・事後アンケートを実施するので、候補者に適した面接官を導き出すことも今後可能になります。

質問3:御社のサービスは、採用のどの段階に適していますか?

現状、「HARUTAKA」の録画エントリーは1次面接・ESの代わりとして、ライブ面接は2次面接以降に適用されることが多いです。新型コロナの影響下では最終面接もオンラインで行われるでしょうが、弊社は面接すべてを動画で完結させるべきではないと思っています。やはり、実際に会って実感することもあるでしょうし。「ZIGAN」はどの段階にも活用できます。

質問4:クライアントが御社のサービスを使い続ける理由はどこにありますか?

人事は必ずしもITリテラシーが高いわけでないので、そこをフォローした導入支援をしています。また、弊社は10数個のATS(採用管理システム)との連携をしており、シームレスに導入できる点も競合他社との違いです。

質問5:ウェブ面接システムといえばハイアービューがありますが、その特徴をどう認識していますか?

ハイアービューは採用工数の削減を重視しているので、「ZIGAN」とは設計から異なります。ハイアービューは、その会社で優秀とされている人を3ヶ月ほどインタビューし続けて特徴を導き出し、その特徴を持っている候補者を優秀と判断します。統計であるAIデータは中央値に寄る傾向にあるので、AIに人を判断させると均一化された人材が集まる可能性があります。一方弊社は、多様性が求められる現代において「ZIGAN」で最高の面接の場を提供し、判断は人間に委ねています。

発表者プロフィール

■ 岩崎 由夏
株式会社YOUTRUST代表取締役。大阪大学理学部を卒業後、2012年に株式会社DeNAに新卒入社。1年目より新卒採用、中途採用、経営管理を経験。その後、株式会社ペロリに出向し経営企画を担当。2017年12月に株式会社YOUTRUSTを設立。

■ 清水 巧
株式会社リフカム 代表取締役CEO。明治大学経営学部卒業。Sansan株式会社に新卒入社し、個人向け名刺管理アプリ「Eight」、法人向け名刺管理サービス「Sansan」の立ち上げに従事する。2014年1月に、株式会社リフカムを設立。ベンチャー企業の創業メンバー獲得に特化した採用サービス事業を立ち上げるが、撤退。事業転換を経て、リファラル採用を活性化するクラウドサービス「Refcome」をスタート。

■野澤 比日樹
株式会社ZENKIGEN代表取締役 CEO。1998年に株式会社インテリジェンスに新卒入社。その後、1999年に創業期の社員数10人未満のサイバーエージェントに転職。2011年6月には、ソフトバンクアカデミアに外部1期生として参加する中で孫正義会長から声がかかりソフトバンクグループの社長室に入社(アカデミア 2017年実績 5位/300人中)。電力事業であるSB Power株式会社の設立、営業責任者として電力小売事業を立ち上げる。電力完全自由化を受け、個人向けの日本初の森林寄付型の「自然でんき」を発案から販売まで事業責任者として従事。2017年10月に株式会社ZENKIGENを創業。

 

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