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イベント(ピッチ特集)

オンラインピッチイベント ~AI関連スタートアップ特集~

2020.06.19

AI関連事業を展開するスタートアップ企業3社を一堂に集めた「オンラインピッチイベント~AI関連スタートアップ特集~」が5月16日に開催された。

登壇者は、株式会社ラディウス・ファイブ代表取締役・漆原大介氏、株式会社ニューロ―プ代表取締役・酒井聡氏、オングリット株式会社代表取締役・森川春菜氏の3名。司会進行役は、イベント運営メンバーであるグローバル・ブレイン株式会社の皆川朋子氏が務めた。

皆川朋子:運営メンバーの皆川と申します。本日はオンラインのピッチイベント第3回ということで、AIスタートアップの3名の方にお集まりいただいて、登壇をいただく形になります。

まずラディウス・ファイブの漆原さんは画像にまつわるAIに特化されたサービスをやってらっしゃいます。

2人目は、ニューロ―プの酒井さん。ファッションに特化したAIということで、どういったところにAIを活用されているかというところをおうかがいできればと思います。

3人目は、オングリットの森川さん。こちらは、いわゆる建設とか、土木といった領域でAIを活用するということで、なかなか見かけないようなアプリケーションの使い方をしていらっしゃいます。

株式会社ラディウス・ファイブ代表取締役・漆原大介氏

漆原大介:ラディウス・ファイブの漆原と申します。画像の解析分野というよりは、画像の生成分野の事業をやっております。

ラディウス・ファイブというのは「半径(radius)5メートル」から取っておりまして、手の届く範囲の人たちを助ける存在にということを考えて、それをそのまま経営理念に据えている会社になります。人の創造性を最大化するということをビジョンに据えております。

さまざまな単純作業をAIを用いて、なくしていくことによって、空いた時間ができるので、より創造的になれるんじゃないかということを考えております。

実際にどういった事業をやっているかといいますと、大きく分けて2つやっていることがあります。

1つがAIプラットフォームの開発。もう1つがAIエンジンの提供をやっています。この両輪をまわしながらブランド価値を高めつつ事業を伸ばしていくことをやっていこうとしております。

まずAIプラットフォームのご紹介からさせてください。どういったプラットフォームかといいますと、クリエィティブに関連するいろいろなAIツールをワンストップで利用できるようなプラットフォームになっています。

例えば、「顔イラスト生成AI彩ちゃん」。これは0.1秒で1枚、世界にまったく存在しない新しいイラストを生成できるAIになっています。他にも、上半身をイラスト生成するAIですとか、全身を生成するAIも作っています。

他にどんなAIを作っているかといいますと、「Photo Refiner(高解像度化AI)」は、写真やイラストを縦4倍、横4倍に高解像度化することができるAIになっています。アップロードするだけで、10秒程度でどんな画像も縦4倍、横4倍に綺麗に高解像度化することができます。

あとは動画の「Movie Refiner(動画解像度化AI)」。左が低解像度、右が高解像度になっています。静止画の高解像度ができれば、動画の高解像度化もできるというところで、こういったサービスもやっています。

あとは、先日2月18日に、アニメの4K・8K化を行う「Anime Refiner」というサービスをリリースしました。左が低解像度、右が高解像度ですね。非常にジャギジャギのこの粗いものが綺麗に高解像度化されていることがお判りいただけると思います。

これはフレーム補完AIですね。通常24fpsで生成されているアニメを60fpsに変換するというものです。他にも物体を除去するAI「Inpainter(物体除去AI)」とか、白抜きするAI「Outline clipper(白抜きAI)」等を開発しています。

一方でAIエンジン、両輪の片方なんですけども、どういった内容かといいますと、今までお話したようなさまざまなAIのエンジンをいろんな会社様に提供していくということをやっています。

エンジンもいろいろな提供の仕方があって、工場向けの低廉なカメラでも高いカメラと同等のクオリティを出すことができるエンジンだったり、防犯カメラ用の解析用エンジンとして提供していこうとしていたりします。

これらはあくまでも一例で、それ以外にもいろいろな形で今展開をしていこうとしておりますので、今ご説明したようなところで、ピンときた方はですね。ぜひお声かけいただきたいなと思っています。

株式会社ニューロ―プ代表取締役・酒井聡氏

酒井聡:ニューロ―プの酒井と申します。我々はファッション領域に特化したスタートアップです。

アパレルの専門家の知識とか、モデルさんのセンスとかいったものを、一個一個データ化していって、このデータをAIに学習させて、いろんな企業さんに提供するということをやっています。

13億という数字、何だと思いますか。日本で毎年燃やされている服の数です。これだけ燃やすとどうなるか。儲からないです。

儲からないとどういうことが起きるかというと、ずっと問題視されている環境負荷の問題に着手できないとか、現場のプレイヤ-(販売員)の方々の年収が上がらないといった問題もありますよね。

それから先行投資、長期投資が必要なラグジュアリ―ブランドが生まれない、生まれる素地を作れないみたいな問題につながっていると思っています。

そもそも何でそんなに燃やしているのか、理由を説明します。まず商品の種類が多いです。実際に存在するパンプスサンダルなのですが、カラー展開が10個、サイズ展開が0.5きざみで8つあって、この商品だけで80種類のアイテムがあります。それだけ在庫を抱えているんですね。これをさらに自社ECとか各店舗とかいろんなところに在庫として持っていって分散しています。

アパレルファッションのサプライチェーンってすごい複雑で、実際に商品を棚に並べる6カ月前ぐらいに工場に発注をかけているんですね。(売り上げの)予測も難しい。商品の種類が多様だったりとか、それをどこでも買えたりとか、それをさらに低価格で買えるみたいないろんなバリューを生むために、それが反面でProblem(問題)につながっているという構図になっています。とにかく変数が多すぎて、3分の1捨てざるをえない状況になっています。

具体的に何ができるのかという話なのですが、画像認識がまず得意です。

これスナップ(写真)をAIにくわせて、タグ付けしていくようなAIがあります。何でできるかというと、順に着てですね、オペレーションを組んで、こういうデータをコツコツと6年以上作ってきたという背景があります。

このAIをベースにしていろんなプロダクト化していって提供することをやっています。ざっくり3つくらいにカテゴライズできるので、それぞれご説明させてください。

まず「パーソナライズ」ですね。MAGASEEK(マガシーク)さんというファッションECモールがあるのですが、画像検索の機能を提供しました。ユーザーが自分の好きなインスタグラマーのスナップを選んでアップすると、パっと解析してMAGASEEKさんのなかから似たような商品を探します。

ItSnap(イットスナップ)というメディアさんなのですが、記事中にスナップがあったら、自動で分析して類似アイテムを引っ張ってきます。

次に「クリエイティブ支援」、その内の1つはスタイリングの提案です。このトップスにはこういうボタンのスラックスが合いますよというスタイリングの提案をAIでやることによって、複数点買いを促すというようなことをやっています。それからいろんな柄のデータをAIにくわせて、それをもとにして新しい柄をどんどん生成するみたいなこともプロジェクトとして、今進めています。

最後に一番力を入れている「マーケティング」のところですね。「Decision Tree(デシション・ツリー)」といわれる統計手法なのですが、4,930円以上か以下かとか、カットソーがどうかみたいな感じで分岐がずっと続いています。これで何ができるかというと、新しく売ろうとしている商品をこのなかに突っ込むと、分岐を辿っていって、(売れる)見込みを立てたりとか、「こうやったら売れますよ」みたいな提案したりするようなモデルになっています。

これまでお話してきたものを月額30,000円ぐらいからミニマムで、SaaS(サース)で使えますよという形態でやっていて、つまり儲かる前でもワンタグで導入可能なものになっています。タイとか台湾とかアジア中心に展開していくところです。

オングリット株式会社代表取締役・森川春菜氏

森川春菜:弊社は橋やトンネルなどインフラ構造物の点検などを行っており、また、現場で使用するロボットやAIの開発、開発したシステムを利用し、本来技術者が行っていた業務を、現在障がい者施設にお手伝いいただいております。

実際の点検風景なのですが、現在は国で定められている手の届く範囲での近接目視とハンマーで叩いて音を聞いて診断しています。現在、ドローンでの点検も一部試験的に始められていますが、近い将来ロボットでも、点検が認められる予定です。

橋やトンネルなどの構造物の老朽化は、みなさんご存知の通りかと思うのですが、あまり目立たない街灯や標識も老朽化が進み深刻な状況です。

2016年大阪府池田市で街灯が倒壊し、小学4年生の女の子が指を切断する事故が起こりました。この事故でもっとも問題なのは、事故の3日前に点検を行い、異常なしの報告をしていることです。事故の原因はヒューマンエラーだと考えられます。

ヒューマンエラーの要因は2つあり、まず1つは点検にかかる手間です。街灯点検は高所作業車で行うので事前準備として規制図の作成や警察への申告、規制看板や誘導員の手配が必要となります。

現場では、対象となる街灯の200メートル先から規制看板を設置し、1本点検が終わるごとに規制と解除、移動を繰り返しながら行う業務を朝の8時から夕方の5時まで行い、その後、技術者は残業で報告書のとりまとめを行っているのが現状です。

次に人員不足、技能不足が挙げられます。この業界の技術者の34パーセントは55歳以上と高齢化が進んでおり、2028年には約56万人の技術者が定年退職することが発表されております。

また、経験年数や個人によって判定の差があります。そこで私たちはロボットとAI、未経験者で解決します。点検業務は現場での作業と、図面や報告書のとりまとめなど内業と呼ばれるような業務があります。

まず現場での効率化からご説明します。こちらは、弊社が開発した街灯点検に特化したロボットになります、街灯は上にいくほど細くなるので、太さの変化、先端のカーブにも対応し、左右のスラスターが独立して360度回転しながら撮影した映像をAIで解析します。

こちらに振動センサーを搭載しており、技術者がハンマーで叩いている役割を果たしています。跳ね返ってきた周波数を取得し、こちらもAIで解析して内部の腐食の診断を行っています。

画像解析では、AIがまずこの画像のなかのどこにボルトがあるのかを検知しまして、右の下に紫色でエラーと出ているのですが、こちら拡大すると、ボルトが緩んでいます。下に車が走っているなかをこのようなボルトが落ちてきたら恐ろしい事故につながります。

ロボットで点検を行ったときの削減率ですが、時間は75パーセント削減でき、コストは半分に抑えることができます。ドローンでの点検となると、まずドローンパイロットが必要となり、飛行許可も交通規制も必要となります。技術者が現地で診断を行っているので人的エラーを引き起こす恐れがあり、ドローンのカメラで見ているだけなので内部の腐食を発見することはできません。

ロボットでの点検となると、ドローンパイロットも不要で飛行許可も交通規制も必要ありません。また、AIが解析するので人的エラーも防げて、振動センサーで内部の腐食の診断を行うことができます。

次に報告書のとりまとめについての効率化をご説明させていただきます。

業務フローは、まず点検を行い、損傷しているところチョークで引いていきます。次に損傷個所の写真を撮り、(こちらが)野帳と呼ばれる手書き図面となります。技術者によって書き方が違うので、今まで分業ができず、現場でスケッチした技術者が事務所に戻り、CAD図面や報告書の作成をおこなっているのが現状です。

弊社のシステムを使っていただくと、野帳の記入が不要になります。その方法は現場で撮影した写真をAIで読み込んで、読み取れなかった部分のみを人の手(タッチペン)でなぞって追記していき、CAD図面に仕上げていきます。

こちらがイメージ図となるのですが、現場で撮影してもらった写真をまず1枚の図面と同じ大きな写真に弊社のほうで連結します。この赤色の部分がAIで認識しているところで、AIが認識できなかった部分のみを人の手(タッチペン)でチョークの上からなぞるように追記していきます。

土木知識がなくてもCAD図面を作成することができ、弊社の技術者がダブルチェックをして納品するので、提出可能な報告書作成サービスとなっています。

このサービスには2つの大きなメリットがあり、1つは技術者の負担を減らすことと、分業して障がい者施設にアウトソーシングしているので、新たな雇用を創出することができます。

昨年の半年でアウトソーシングした実績としましては182件のお仕事をお願いしました。街灯点検用ロボットは経済産業省の新連携の認定をいただいておりまして、日本アントプレナ―大賞では「大賞とロボット」賞を受賞させていただき、図面化のサービスでは福岡市トライアル優良商品に認定をいただいております。

社会課題のソーシャルビジネスの面としましては、ノーベル平和賞を受賞されたムハマド・ユヌス主催する「YYcontest(ワイワイコンテスト)」で優勝させていただいて、ドイツで日本代表として登壇させていただきました。

 

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