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インタビュー

IRIS×テレシーが提案する新たなタクシー広告の価値とは

2021.02.16

2021年2月1日、株式会社CARTA HOLDINGSのグループ会社で、株式会社電通と共同で運用型テレビCMプラットフォーム「テレシー」を運営する株式会社テレシーは、日本・東京設置台数No.1タクシーサイネージメディア「Tokyo Prime」を運営する株式会社IRISと提携し、2021年4月より、タクシーサイネージメディア「Tokyo Prime」を活用したタクシー広告の提供を開始することを発表した。
この発表を受けて、本記事では事業提携の背景や今後の展望ついて、両事業責任者の対談を実施。タクシー広告の現状や効果的な活用方法についても話を伺った。

IRIS×テレシー提携の経緯と狙い

編集部:本日は、株式会社IRIS 取締役COO 飽浦(あくうら)さん、株式会社テレシー 代表取締役 土井さんにオンラインにて対談いただきます。初めに事業紹介をお願いします。

飽浦 尚さん(以下、飽浦):IRISは国内配車アプリ最大手のMobility Technologies(旧JapanTaxi)とフリークアウト・ホールディングスの合弁会社で、タクシー車内搭載のデジタル・サイネージ「Tokyo Prime」を全国主要都市に展開しています。2016年に日本で初めてのタクシーサイネージメディアをローンチし、現在進出しているエリアでは10万台あるタクシーのうち、5万台に弊社のサイネージが導入されています。東京では6割くらい導入いただいていますね。

土井 健さん(以下、土井):テレシーは「100万円からテレビCMが出稿できる」というサービスを提供しています。元々は電通とVOYAGE GROUPが共同でやり始めた事業で、今年1月から株式会社テレシーに分社化してさらにサービス展開を加速しようと考えています。先日リリースがあった通り、IRISさんと提携して4月からはタクシー広告の提供も開始します。テレビCMのノウハウも活かして、クリエイティブ制作から効果測定までをトータルでサポートさせていただきます。

編集部:まず、今回業務提携に至った背景についてお話いただけますか?

土井:ご縁あって、昨年12月にテレシーが広告主として初めてタクシー広告を出稿したのがきっかけです。その時の効果がすごかったんですよね。めちゃくちゃ問い合わせと資料請求がきたんです。正直、今までタクシー広告の効果には少し懐疑的だったんですけど、実際にやってみてその価値を理解できました。

同時に、テレシーのクライアントにもタクシー広告を提案したいと感じました。というのも、「100万円からテレビCM」というテレシーのコンセプトはとてもご好評いただいているのですが、東京で望む効果を出すとなると数千万円必要になるケースも多々あります。予算ネックでお手伝いできない企業がいるのも現状です。そういった企業にも、タクシー広告であれば、テレビCMより安く都内で決裁者にアプローチでき、要望が叶えられるのではないか。そう考えて自分から飽浦さんに声をかけました。

飽浦:Tokyo Primeを使っていただきありがとうございます。テレシーは「単価が高いBtoB商材」「ターゲットが決裁者」という点がタクシー広告の特性に非常にマッチしたと思います。

弊社としては、今メインで広告をご購入頂いているのは総合代理店という中で、どうやって販路をもっと広げていくかという課題を抱えていました。大手企業の総合メディアプランの一戦略としての利用だけでなく、資金調達をしてこれからどんどん盛り上げていくというベンチャー企業の立ち上がり、プロダクトが出来上がってこれからCMをして売上をあげていくという企業にももっと使ってもらいたいと考えていたんです。
そんな中、土井さんからお声がけいただいて、お話してみるとお互いに目指す方向性も非常に合っていたので、ぜひ一緒にやっていきたいと思いました。

土井:もう1つ、ハマるなと思った理由があります。グループのCVCであるVOYAGE VENTUREではシリーズAくらいの出資先がたくさんある中で、その繋がりに対して、今まで自社グループの商材ではお役立ちできる機会があまりなかったんです。 資金調達したスタートアップ企業にとっては、採用かマーケティングがメインの活動になるため、タクシー広告もテレビCMと同様に良いソリューションになるのではないかとも考えました。

編集部:テレシーのタクシー広告出稿時の具体的な効果について教えてください。

土井:効果については2点あります。
まず、出稿中の効果。これはすごかったです。タクシーCM放映初日は1時間に1,2件資料請求の問い合わせがくるレベル。指名検索数も数倍レベルではなく数十倍で増えて、IRIS側でやってくれている調査で認知度や推奨度とかいろいろなリサーチがあるのですが、広告を見た人と見ていない人で比較すると何千%と違うんです。桁違いですよね(笑)
次に、出稿後の効果です。12月しか広告は出稿していなかったのに、1月にも「タクシー広告を見て」というお問い合わせを数多く頂きました。残存効果ですね。広告主として、タクシー広告は印象に強く残る媒体だと実感しました。

飽浦:効果を実感いただけてよかったです!その後の進捗はどうですか?受注にも繋がっていますか?

土井:いま順次商談を進めているところで受注にも繋がっています。問い合わせもまだ続いていますよ。

編集部:タクシー広告の残存効果にはどういった理由が考えられるのでしょうか?

土井:テレビCMと近いのが、タクシー広告を見るときってぼーっとしていたり、ある意味受動的なんです。ネット広告は違いますよね。消費者がスマホを使うのってゲームをしたり、何かを検索したり明確な目的がある場合がほとんどですから。消費者の隙間に入る広告が難しくなっている中で、共通でリラックスタイムというか、「一旦いま何しよう?」というタイミングでアプローチできる媒体というのが残存広告に繋がっているのではないでしょうか。

ネット広告は直接CVに寄与しますが、ネット広告を見た人が翌日にどれだけ内容を思い出せるかというとほぼ0%。一方で、テレビCMは翌日に数十%の内容は思い出せるという調査データがあったりします。タクシー広告もそれに近いか、あるいはそれ以上ではないかと思います。

飽浦:タクシー広告は結構覚えていただいていることが多いですね。1年前位のCMをいまだに覚えていただいていたり。

土井:テレビよりもっと顕著なんでしょうね。テレビはやっぱりコンテンツを見にいっているけど、タクシーはコンテンツ見るとかではなく目の前でパッと流れますからね。

飽浦:CMがずっと流れていますからね。タクシーの可処分時間って平均で約18分なんです。Twitterの1日の可処分時間が同程度の20分くらいなんですが、Twitterがもし20分間広告しか流していなかったら絶対誰も使っていないですよね。あくまで自分の好きな人のツイートを見にいっていて、何スクロールかに1回広告が間に入ってくるというフォーマットなので。一方、タクシー広告は18分の中でコンテンツを挟みながら15~20くらいの広告を見てもらうフォーマットになっています。18分間ほぼ広告を流しているのに、96%の人が最後まで見てまんべんなく内容を覚えているという結果が出ているんです。
そのため、タクシー広告は実質の可処分時間に換算したときにすごくインパクトある媒体と言えると思います。

土井:広告を見る時間に換算するとタクシー広告は莫大な時間を稼げているんですね。

タクシー広告の効果的な活用方法

編集部:テレシーの事例でも触れましたが、改めてタクシー広告の媒体特性について教えてください。

飽浦:1番の媒体特性は、決裁者に効率的にアプローチができるという点です。その中でもTokyo Primeを搭載するのは、業界最大手の日本交通をはじめとするタクシー会社で、各社共にハイクラスなビジネスマンや富裕層が乗降する専用エリアを保有しています。例えば、六本木ヒルズ、大手企業の本社ビルなど、日本交通しか停車ができない専用タクシー乗り場が都内に40箇所ほどあるんです。そのため、決裁者やシステム導入の意思決定をする人への接点が圧倒的に多い点が強みです。

また、テレシーの事例でも触れましたが、残存効果が強いという特性もあります。タクシー広告の場合は、発注額が人によってかなり異なるのでCPAという指標はあまり見ません。一方で、BtoB営業の後押し効果としてLTVに着目することが多いです。決裁者に広告を見てもらうだけでなく、きちんと認知してもらうことで、アポが取りやすくなったり稟議が通りやすくなるという効果があります。

Tokyo Primeの特徴的な属性と、その価値観

土井:コロナ禍におけるタクシーの利用状況はどうですか?
決裁者のタクシー乗車率は伸びているという調査結果を見ましたが。

飽浦:そうですね。アプリの配車数、タクシーを呼ぶ方の数はコロナ禍にも関わらず、前年よりも伸びています。流しや駅待ちのタクシー利用客が減りましたが、コアユーザーや決裁者クラスの乗車は増えています。あと、法務や経理などどうしても会社に出ないといけない場合、会社側が出勤にタクシー利用を許可しているケースも多いようで、法人利用も増加しました。

土井:広告出稿の側面から見るとどうですか?

飽浦:BtoBのクライアントは決裁者の比率が相対的に高まったり、ビジネス系の方の移動は変わらず需要があるので広告パフォーマンスは十分に期待できる状況です。BtoCは3月末頃まで予算が凍結しているクライアントが多く出稿自体が厳しかったのですが、4月以降は少しずつ戻りつつありますね。最近はラグジュアリーブランドのお客様のご発注がありました。オリンピック関連も動きが増えてきています。

土井:富裕層は今お金が余っているからある意味チャンスですよね。

編集部:タクシー広告をどんな企業に導入していただきたいとお考えですか?

飽浦:BtoBだとミドルクラスからエンタープライズと言われる大企業を狙っている企業ですね。成長ステージとしてはシリーズAとかBくらいの企業でしょうか。ベンチャー企業でも、体制が整ったタイミングで大企業向けにソリューションを出していくとタイミングには効果的かと思います。BtoCでいうと、富裕層向けの金融商品や外車。最近難しいですがハイクラスのお宿などご利用いただいております。

土井:確かに今挙げてもらったようなBtoBクライアントには現状提案してかなり興味をもって頂いていますね。この辺のノウハウはIRISさんから学びながらやっていきたいです。

飽浦:あとBtoBの商材の場合、出稿のタイミングも大事ですね。ある程度形になっているサービスで、きちんとシステムが動いて、問い合わせフォームがあり、営業のフォロー体制もあるが、認知が弱い。このような場合は、タクシー広告は非常におすすめです。ある程度システムと営業の体制ができたところで1か月くらいやると、効果がしっかり見えやすいです。

土井:逆に、タクシー広告が苦手な分野ってどこですかね?

飽浦:実は中小企業のオーナーさんは苦手だったりします。意外とタクシーに乗らないので、そちらはテレビCMの方が効果的かもしれません。

土井:確かに自家用車のイメージありますね。そちらはテレシーのテレビCMにお任せください(笑)

編集部:タクシー広告で効果のよいクリエイティブを教えてください。

飽浦:BtoB、BtoC問わず商品名は何回か言ったほうがいいですね。何度も言いすぎるのは逆効果なので、自然な形で2~3回がおすすめ。カット割りも複雑にせず、「こんな課題があるから、こんなソリューションなんです」というのをわかりやすく伝えて、最後に商品名を検索してもらうのがスタンダードな形です。

土井:クリエイティブについても連携して知見を広げていきたいですね。

今後の展望と両社が描く未来

編集部:今後のタクシー広告の展望について教えてください。

飽浦:これまで4~5年間でタクシー広告というものが認知されて効果が世間に浸透してきました。都内の法人タクシー3万台にはほぼ100%サイネージがついていて、地方も進出している都市に関しては2台に1台はサイネージの導入ができています。面は広げ切って、広告の在庫としても確保できるようになりました。

次のフェーズとしては、デモグラフィックなどデータをつかった配信が注目されています。今後はデータを活用して、より適格に意思決定者に訴求したり、空港などの行先に紐づけて広告を出したり、よりプログラマティックな広告が可能になってくると思います。インターネット広告の発展の過程に近しい形でタクシー広告も進化していかないといけません。このチャレンジで現状50億円のタクシー広告市場を75~100億円くらいまで拡大していきたいと意気込んでいます。

編集部:今回の業務提携によって、どんな価値を生み出していきたいとお考えですか?

土井:テレビで今磨いている効果測定のロジックやモデルをタクシーでも汎用化できるのではないかと考えています。そこはチャレンジしていきたいですね。

飽浦:BtoBのクライアントの場合は、タクシー広告をやった後によりマス的なリーチをとるためにテレビCMをやることが多いように感じます。最近上場を果たしたような企業がタクシー広告から始めて、テレビCMをやる。テレビCMをやったからといってタクシーに戻ってこないということはなく、「今はTVをやるタイミング」「今はタクシーをやるタイミング」という使い分けのノウハウをクライアントがもっていて、両方をずっと使い続けてくれています。現状は「テレビを使う良さ」「タクシーを使う良さ」というノウハウが広告主独自のものになっていて、外に開示されていない状態。秘伝のタレみたいな感じですね。そこをもっと具体化して外に出せるようなものにブラッシュアップしていきたいと考えています。

BtoB企業であればある程度汎用化できると思うので、今はテレビ、今はタクシーといった年間プランや「こういうふうに出すとベストですよ」というノウハウをテレシーさんと一緒に作っていきたいです。そういう未来を考えるとワクワクしますね。

土井:完全に同じですね。メディアミックスじゃないけど、最適な配分とかフェーズによってどうアレンジするか、効果測定のところも同じでよいのか変えるのか。そういったところも一緒にやることでデータを統合して包括的に見ることができ、最終的にクライアントのマーケティングコストの最適化に繋がってきます。

自分自身もテレビ領域をやり始めて思ったのが、マスメディアもやり方によっては価値の再発掘、再定義ができるということ。いまテレシーはテレビCMからスタートして、タクシー広告も初めることにしました。もしかすると、新聞やチラシもまだ再発掘できるんじゃないかと考えたりします。そういったところにもチャレンジしていきたいですね。 マーケティング予算のアロケーションを最適化させて、クライアントをハッピーにできたら。そういうところに一歩一歩近づいていきたいと思います。

編集部:今回の業務提携によって、タクシー広告×テレビCMの新たなノウハウ構築や相乗効果が期待されます。本日はありがとうございました。

■飽浦 尚(あくうら なお)
株式会社IRIS 取締役COO。2008年4月に株式会社インテージに入社し、消費財メーカーのマーケティング戦略支援業務に従事。2014年1月株式会社フリークアウト・ホールディングスに入社し、事業開発責任者、営業企画部門の責任者として製品開発や営業の組織化に携わる。その後、複数のスタートアップ企業の経営に従事し、2017年6月に株式会社IRIS取締役に就任。2020年10月5日現在、全国主要12都市50,000台の車両に設置される新世代デジタル・サイネージ「Tokyo Prime」の開発・事業拡大に従事。

■土井 健(どい けん)
株式会社テレシー代表取締役。2008年、同志社大学商学部を卒業後、株式会社サイバードへ入社。モバイル広告代理店事業立ち上げに従事。2011年に株式会社ECナビに入社。その後、株式会社adingo(現 株式会社fluct)に出向し、メディアコンサルタントとしてスマートフォンSSP「fluct」の立ち上げに参画。日本最大級のSSPに育て上げ、2016年に株式会社fluctの代表取締役に就任。2020年には株式会社VOYAGE GROUPの取締役、2021年に株式会社サイバー・コミュニケーションズの取締役に就任。メディア領域の企業を中心としたM&Aや出資領域、PR領域、次世代型TVマーケティングプラットフォーム「PORTO tv(現 テレシー)」事業を統括。2021年1月4日付けの株式会社テレシー設立時に代表取締役に就任。

■タクシーサイネージメディア「Tokyo Prime」
https://www.tokyo-prime.jp/
2016年6月に株式会社Mobility Technologies(旧・JapanTaxi株式会社)と、株式会社フリークアウト・ホールディングスの合弁会社として設立した株式会社IRISが運営する新世代デジタル・サイネージ。2020年10月5日現在、都内最大手の日本交通、帝都自動車交通など東京都内19,000台のタクシーを含む、全国主要12都市(※)のタクシー、合計約50,000台の車両に搭載された10インチ高精細デジタル・サイネージで音声付動画を放映。タクシーで移動するビジネス層・富裕層にリーチすることが可能。
※東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県、北海道、福岡県、広島県、宮城県

■「テレシー(TELECY)」
https://telecy.tv/
最低100万円から簡単にテレビCMの出稿ができ、効果もしっかりと確認しながらPDCAを回すことができる運用型テレビCMプラットフォーム。電通が保有する日本最大級のテレビCMに関わるアセットをフル活用し、AIを用いた高精度なシミュレーション・最適化・レポーティングを実現。配信実績も独自のレポーティングツール「テレシーアナリティクス」により、最短で広告掲載翌日には把握することができ、シミュレーションデータと比較しながら、AIによるチューニングでさらなる最適化を図ることが可能。近年、サードパーティCookie規制をはじめ、国内外において、プライバシー保護に対する意識が高まり、対策が強化されているが、「テレシー」では、効果測定に個人情報を一切使用しないため、Cookie規制などに関わらず、効果測定をすることが可能。

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