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イベント(STARTUPS SELECTION® TOKYO)

【第11回】世界一周から着想した新たなCtoCビジネスとは。

2021.07.08

新進気鋭な若⼿スタートアップ起業家たちにスポットライトを当てる番組連動プロジェクト「STARTUPS SELECTION® TOKYO」
第11回目ゲストは、MOSH株式会社代表取締役の籔 和弥さん。新卒で日本最大級のグルメサービスアプリのリーダーとして活躍し、退職後はアジア・インド・アフリカなど世界一周へ。世界中の方との対話を通して見えてきたCtoCビジネスの新たな可能性、起業までの経緯などについてお話を伺った。

MOSH株式会社 代表取締役 籔 和弥さん

YAZAWA:本日のゲストは、個人の方がネットで簡単にサービスを販売できるプラットフォーム「MOSH」を開発・提供されているMOSH株式会社の籔 和弥さんです。 第9回目放送に来ていただいた竹林さん※のご紹介でお越しいただきました。

※第9回目ゲスト 竹林 史貴さん:https://www.youtube.com/watch?v=9fq2zilDYx8

籔 和弥さん(以下、籔):よろしくお願いいたします。

YAZAWA:新卒でRetty株式会社に入社されて、その後世界一周をされたというプロフィールを拝見しました。
会社を辞めて世界一周に行かれたのは何故だったんですか?

:20歳頃からベンチャー企業を経験した後に1回世界一周してから起業しようと決めていました。前職は日本を中心にサービスを展開していたので、改めて世界全体の市況感や海外のマーケットがどのようになっているのかを肌で感じたいなと。

YAZAWA:学生がバックパッカーで行くような旅を勝手にイメージしていたんですけど、ビジネス観点で新たに吸収できるものを求めて行かれたってことですね。

:ただお金は全然なかったので、バックパッカー的な感じでしたよ。 各地で起業家の方にアポを取ったり、tinderなどを使って同世代の方150人くらいとお会いしたりしました。その中にはスタートアップで働いている方もいれば、様々な仕事をしている方がいましたが、お金の使い方や人生に対しての考え方など広く学べたなという感覚があります。

YAZAWA:そんなtinderの使い方があるとは驚きです。
各国の方々からお話を伺った中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

:サービスの原体験になったのは、アフリカのマサイ族の村でのエピソードですね。マサイ族の方って15歳になるとライオンを殺して一人前の成人男性として認められるみたいな通過儀礼があるんですよ。ライオンを殺した後に牛のフンで丈夫な家を建てて、そこから村長を目指すみたいなロードマップがあって。日本で言うと、大学行って就職して車買ってみたいな感じですかね。

YAZAWA:マサイ族の若者のロードマップは初耳です。

:その時にお話した青年は村のエースみたいな存在で、無事にライオンを仕留めて、いろいろな村の女性から配偶者候補を探しているタイミングでした。 マサイ族の方って普通にスマホも持ってるし、観光産業が成り立っているので若い方は英語を話せるんです。僕とも英語で会話できたんですが、彼から「日本はどんな感じなのか」「日本に行くためにはどうしたらいいのか」「ケニアの首都ナイロビへ出稼ぎしに行くのはどうか」などの多くの相談を受けまして。 外部とソーシャルで繋がることで他の社会を垣間見ることができるようになった。それにより、マサイ族の青年が元来のロードマップに疑問を感じて、自分の生き方について悩んでいる現状を知りました。

YAZAWA:外部の情報を得られるようになって、悩む選択肢が増えたんですね。

:そうなんです。デバイスの普及によって、今まで入って来なかった情報をキャッチアップできるようになって、かつグローバルでいろいろな人と対話する中で、自分の生き様っていうところに多くの方が悩んでいる状況に気づきました。これはマサイ族の彼だけでなく、他国の若者にも共通していて。日本でもそういう若者の悩みは多いと思いますが、アジアやインド、アフリカでも同様の課題を感じているのは新たな気づきでした。

ソーシャルやスマホの普及によって世の中の価値観や考え方が大きく変わっているんだなと改めて気がついて、同時に社会的にすごく大きな課題だと思いました。ここに対してアプローチするような事業をやりたいと思ったのが最初のきっかけです。

URUSHI:世界中の方との対話が創業のきっかけになったんですね。 壮大な市場調査で興味深いお話ばかりでした。

世界一周の経験で見えてきたもの。MOSH開発の経緯。

YAZAWA:今の事業内容についてご説明いただけますか?

:サービス業を営まれている方が、予約受付や事前決済などをスマホで簡単に完結できるプラットフォーム「MOSH」を提供しています。ネットショップBASEのサービス業版をイメージしていただければと思います。現在フィットネス、ヨガ、理美容、音楽家、クリエイターなど200職種以上、約3万事業者の方にご利用いただいています。

YAZAWA:MOSHは世界一周された後に開発してずっとやり続けているんですか?

:そうですね。世界に行く前は小中高校生向けにチャットの家庭教師サービスをやっていましたが、帰国後は「確実にこれだ!」と思ってMOSH1本でやっています。

YAZAWA:世界一周からどうしてMOSHにたどり着いたのかをもう少し詳しく伺ってもよいですか?

:理由は2つあります。1つ目は世界におけるCtoCサービスの拡大。 AirbnbやUber、東南アジアだとGrabとか。世界ではタクシー系のCtoCサービスに付随する形でいろいろなCtoCマッチングサービスが普及していました。
2つ目は自分の原体験から感じた個人間取引の可能性。東南アジアを訪れた時に、アプリからマッサージの方を呼んだり、体調を崩した時に代理で薬を買ってきてもらったり、いろいろな個人間取引を経験しました。海外行くと知らない人に頼み事をするのって正直怖いじゃないですか。一般的な電話帳やホームページを見ても何も書いていないような会社もたくさんある。それであれば、プラットフォームを介した個人取引で星5つの評価がある方が信頼できるなぁと感じた原体験があって。日本だと企業への信頼が大きいので相手をあまり疑わないけど、海外だったら騙される立場かもしれない。そうなった時に信頼が可視化された取引をするのってすごく合理的だなと感じました。

YAZAWA:確かに海外に行くと、知らない会社ばかりだし調べても情報が出てこなかったりしますね。それであれば口コミの良い個人への依頼の方が安心できます。

:突き詰めていくと、個人同士のサービス提供って信頼もできるし取引自体も滑らかになる側面があるなと。
また、SNSの普及によって、冒頭に申し上げた自分の生き方を悩むという課題がある一方で、やりたいことやビジネスをうまく見つけられている方にもお会いできました。

YAZAWA:お会いした方ではどんな方がいらっしゃったんですか?

:Instagramを中心にカメラマンをやったり、個人でツアーコンダクターをやったり、個人で商売している人がとても多かったです。宿泊は今までAirbnbで手配していたんですけど、アフリカでは相手から「2回目以降はAirbnbを通さずに自分宛てに直接予約して」と結構言われたんですよ。それって結構面白いなって思っていて。もちろん手数料を取られたくないという側面はあると思いますが、2回目以降はお互いに信頼関係が出来ているので、プラットフォームに頼る理由がなくなるんじゃないかなと。

YAZAWA:なるほど。プラットフォームは出会いの場として活用できますが、その後はお互いの信頼関係があれば頼る必要はなくなりますね。

:情報の普及が加速して世の中がどんどん繋がっていく中で、個人間取引がもっと簡単で一般的になると思ったのがMOSHを立ち上げた原点ですね。当社は「情熱がめぐる経済をつくる」というミッションを掲げているのですが、情熱を持った人との出会いは周囲の生き様にも好影響を与えます。この情熱の連鎖は冒頭の課題解決にも繋がると思うんです。

退職後に円満な関係性を作るコツ。

YAZAWA:前職のRetty株式会社(以下、Retty)が2020年10月に上場されましたが、その時の心境はいかがでしたか?

:やっぱりめちゃくちゃ嬉しかったです。今当社もRettyから出資を受けていて、代表の武田さんを初め他のメンバーとも継続的に関係を持っていて、状況についてもよく共有されていたんです。上場までの苦労も結構聞いていたので、感慨深いものがありましたね。

YAZAWA:ここだけの話、Rettyを少しライバル視する側面もあったりしますか?

:ライバル視はそれほどしていないんですけど、新規上場は目指すところではあります。 武田さんからのプレッシャーをもちろんありますが、ああいう仕事ぶりをしていると上場に繋がるんだっていうのを参考にさせてもらっています。Rettyの当事者として一緒にやらせていただいた経験は大きくて、働き方や視座観は無意識的に影響を受けていると思います。

YAZAWA:退職後もすごくいい関係なんですね。会社を辞めた時って、年次としてもまだ若かったと思いますが、今の関係性はどのように築いたんでしょうか?

:入社のタイミングで武田さんに「3年半ぐらいで起業するので辞めます」という話はしていました。あと、紹介でプロダクトメンバーを何名もアサインしていたので、ある一定はちゃんと貢献できたかなと思います。
実は共同創業者の村井も1回Rettyに入社しているんですよね。 彼については入社のタイミングで「村井さんは僕と一緒に事業をやるので、将来的に引き抜く前提です。それでも良ければ誘います。」っていう話もしていまして(笑)

YAZAWA:事前にきちんと調整してコミュニケーションを取っていたんですね。 それにしても皆さんを味方にする力が凄いです。

大枠を決めてプロセスは柔軟に。計画と直観のバランス。

YAZAWA:起業までのプロセスを最初から事前に全て決めていたことに驚きました。 それを実行に移せているのが本当に凄いと思うのですが、どうやってその能力を身に着けたのか気になります。

:結構感覚的に生きているので、あまり緻密に逆算して何かやるタイプではないんですよね。次は海外で事業展開をするとか、大きいマイルストーンは自分から前のめりで設定するようにしているんですが、その中の進み方については割と偶発的な出会いが大きいかなと。 できれば逆算的に動けるような人間でありたいなと思うんですが。

YAZAWA:共同創業者の村井さんと将来的に一緒に事業をすると決められていたのは、何かビビビッと来たものがあったんですか?

:直観ですかね。自然にこういう組み合わせかなっていうのを感じていて、それに基づいて動いた感じですね。

YAZAWA:共同創業者の中で意見が衝突することって必ず起きると思うんですが、そういう時はどのように回避しているんですか?

:共同創業者は今3名いるんですが、みんな僕とテンションが同じくらいなんですよね。 良くも悪くもオラオラ系では全然なくて、ずっとフラットなトーンなんで怒ることもない。その辺のベースの価値観が合っているんだと思います。 あとは、率直に色んなことを話すということは大事にしていて、ちょっと詰まったところ、ちょっと気になるところっていうのは早めにちゃんと対話する。これは基本だけど意識してやっています。

最近のオススメはオフィスで出来る〇〇

YAZAWA:最近のオススメを教えてください。

:僕自身もMOSHを通していくつかのサービスを受けているんですが、その中でも出張可能なサービスがオススメです。 今はパーソナルトレーニングと鍼灸をやっているんですけど、どちらも週1でオフィスに来てもらっています。ミーティングが続いた後にトレーニングをしてもう1回仕事戻るみたいな感じで取り入れられるので、すごく気に入っています。

YAZAWA:オフィスに来てもらえるのは新しいですね。時間も無駄にならないし、良い気分転換になりそうですね!

:そうなんです。トレーニングをするだけっていうのがちょっと心理的に受け付けなくて。今までは全然続かなかったんですけど、オフィスでやるスタイルは自分の中でしっくりきていて続いています。

YAZAWA:そういうサービスって増えてきているんですか?

:増えていますね。最近ですと、店舗に依存しない形で個人サービスをやっている方も増えているので、出張みたいな形は比較的多いと思います。

何事も現場へ。クライアントや社員に真摯に向き合う姿勢。

YAZAWA:日々の業務内容について教えてください。

:事業者様と会っている時間が大半ですね。様々なジャンルのプロフェッショナルの方がいるので、いろんなカテゴリーの事業者様のワークフローや使い方を聞きながら僕らのプロジェクトとの汎用的な落としどころを考えていることが多いです。 当社は10名くらいの組織なので、比較的いろんなプロジェクトに顔を出させてもらいながら、場合によってはプロジェクトマネージャーをやることもあります。

YAZAWA:実際にプロジェクトマネージャーもやられているんですね。
やっぱり直接現場の声を聞くことを大切にされているんですか?

:そうですね。一次情報を取りに行きたいタイプで、それが1番理解に繋がると思っています。 最近、初めてご家族がいる社員が入社したんです。僕は独身で彼の生活が全然わからないので、ご迷惑を承知でご家庭に半日お邪魔させていただきました。 どういう感じで子育てしているのか、どういうことに時間を使ってるのかを実際に見せてもらって、パートナーの方には夫の働き方に対してどういう不安を抱いているのかなどヒアリングさせていただきました。

YAZAWA:知らないことを理解しようという姿勢が本当に素敵ですね。
そういう意見を参考に会社の制度を作ったりするんですか?

:そうですね。スタートアップに入社する以上、パートナーに迷惑をかけてしまう側面もあると思うので、貴重な意見を頂けました。社員の生活に代表が興味を持っていることは相手もとてもポジティブに捉えてくれたので、これはやってよかったですね。

YAZAWA:クライアントや社員のことを真摯に理解しようとする姿勢。 これにはファンが増えそうですね。
藪さん、本日はありがとうございました!

「STARTUPS SELECTION® TOKYO」第11回目放送
YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=06fcDs0_umo

ゲスト
■籔 和弥(やぶ かずや)
MOSH株式会社 代表取締役。
福井出身、2014年にRetty株式会社に社員7人目で新卒入社。Rettyアプリのリーダーを担当。2017年Retty退社後、アジア・インド・アフリカなど世界一周を行い、現在のMOSHを着想し創業に至る。

パーソナリティ
■YAZAWA(やざわ)
元・株式会社nene 代表取締役。2018年にネット秘書サービス「nene」を創業後、2020年に事業を売却。株式会社Wizが子会社化。代表取締役としてサービス拡大に従事したのち、自身の会社で新しい事業の立ち上げを行う。

■URUSHI(うるし)
株式会社OKPR 代表取締役。2016年に「OKPR」を創業後、2020年にM&Aにて株式会社VOYAGE GROUP(CARTA HOLDINGS)入りする。情報経営イノベーション専門職大学の客員教員や、東京都やEY新日本監査法人が主催するプログラムにおいてメンターも務める。課外活動として「サムライ広報会」も主宰中。

MOSH(モッシュ)
https://money-career.com/
個人の方がネットで簡単にサービス販売できるプラットフォーム。 オリジナルメニューの作成から、予約受付・事前決済・顧客管理までスマホで完結。

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