TOP > レポート > テレワークで成果を出すには? withコロナ時代の働き方

レポート

テレワークで成果を出すには? withコロナ時代の働き方

2020.05.26

Information
【三社合同】withコロナの働き方と働く場を考える
-STAY HOME,THINK WORKプロジェクト第二弾-
オンラインイベントレポート

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、働き方が急変しつつある。状況の長期化が想定されるなかで、テレワークを継続して生産性に支障はないか、オフィスは不要となるのか。いまだwithコロナ・afterコロナにおけるベストな働き方の答えは出ない。

そのような時勢において、オフィス移転支援や空間プロデュースを担うヒトカラメディアは、観客一体型のオンラインプロジェクト「STAY HOME,THINK WORK」を発足した。

第一弾では、ベンチャー・スタートアップ企業を中心に、新型コロナが働き方に与えた影響に関してアンケートを実施(28社・31名の方が回答)。その内容を受け、第二弾ではこれからの働き方を考えるオンライントークイベントを開催した。

新型コロナが事業面・組織面に与える影響は?

登壇者は、2014年頃からテレワークを導入している株式会社ニットの代表取締役 秋沢崇夫さん、コワーキング事業を展開するNagatachoGRiD管理人 山口若葉さん、ヒトカラメディアWP事業部責任者 三浦圭太さんだ。

秋沢崇夫さん(以下、秋沢):ニットでは、クライアントのバックオフィス業務をオンラインで請け負うHELP YOUというサービスを展開しています。約400人のメンバーが場所と時間に縛られずに、世界33カ国で働いています。現在は、緊急事態宣言以降にテレワークを導入した企業から相談を受けるケースが多く、コンサルタント業も開始しました。

山口若葉さん(以下、山口):私が管理人を務めるNagatachoGRiDでは、ビル一棟すべてを活用したコワーキング事業を展開しています。新型コロナの影響としては、ビル内のイベントスペースは2月半ば頃から停止、オフィスは3月末から停滞し始めました。現状は60%の企業が契約内容を見直す反面、問い合わせは前年比2.5倍に増加中。身軽に働くためにこれまでのオフィスを引き払って入居する方が増えています。

三浦圭太さん(以下、三浦):弊社がwithコロナにおいてできるサポートは、居抜きの退去・入居サポートやソーシャルディスタンスをふまえたレイアウト変更、空き区画の空間プロデュースなどです。顧客からは新型コロナの早い段階でオフィスの移転・縮小の相談がありましたが、先行きが不透明ななかでのキャッシュの浪費を避けるべく一旦保留している企業が多いです。

テレワーク導入後、コミュニケーションをどう担保する?

社員が個別に働くようになると、コミュニケーション不足が問題となる。テレワークのノウハウをもつニットでは、より緊密な人間関係づくりに努力しているという。

秋沢:弊社のテレワーク経験1年以上のメンバーにアンケートをしたところ、70%以上がテレワークの難しさを感じたことがあると回答しました。その最多の理由は、やはりコミュニケーションです。例えば、テキストチャットでは伝えたいことがうまく伝わらなかったり、冷たく伝わってしまったりといった具合に。また、大企業ではマネージャーのITリテラシーの低さによるコミュニケーションギャップも生じているようです。そうした不具合を解消するために、弊社では雑談などの余白のコミュニケーションを大事にしています。

企業によっては、社員の勤務状況が見えないことに不安を抱くマネージャーもいるようだが、秋沢さんは「それは従来の日本の会社が勤務時間を以って社員を評価していたことの証明であり、今後は成果で判断すべきでしょう。またそのためにも、信頼に基づいた社員の人間関係は不可欠です」と述べた。

テレワークで社員を育てることはできるのか

4月7日に緊急事態宣言が発令され、テレワークでの新人との接し方に悩みを抱える企業も多いはず。オンラインでの若手教育には何を留意すべきなのだろうか。

秋沢:若手が自立するまでには大きな労力がかかります。放置するとやはり成長できないので、弊社ではまず、教育係が業務の目標設定と内容・やり方の確認を最初に密に行ない、その後、経過をこまめにチェックします。その際、対面・チャット・電話・ZOOMと4種のコミュニケーションツールを上手に使い分けています。

山口:働く様子が見えない分、マネージャーに声をキャッチアップしてもらうのを待つのではなく、すべての働く人が自分の意見を発信することが求められる時代になっていくでしょうね。

三浦:新人に限ったことでありませんが、オフィスでの雑談のなかで発見や気付きを得ることってありますよね? オンラン上でインフォーマルな知識インプットの場をもつにはどうすればいいのでしょう。

秋沢:確かに、各人の状況や抱える課題は、雑談から見えてくることが多いですね。弊社では月に一度1対1の面談や、定期的なウェブ飲み会・勉強会を用意しています。もちろん、メンバーのなかにはオンラインでの雑談を好まない人もいます。ですが、重要なのは全員で集まることではなく、各々がヘルプを求められる相手を1人でも確保しておくこと。弊社には、○年入社同期やワーママなど様々なチャットコミュニティがあり、自由に発言ができ、つながりを感じられる場となっています。

オンラインで仕事を完結できるからこそ、社員を孤立させないために、これからの会社には社員同士のつながりを担保する枠組みづくりが求められるだろう。

afterコロナで、リアルな場に見出される可能性とは

テレワークが一般化した社会では、人と実際に会う場所はどのように機能していくのだろうか。働く場を提供し続けてきたヒトカラメディアでは、以下のように考えている。

三浦:オンラインでのやり取りが一般化すると、人と実際に会うことの価値が上がり、その際にはより良い空間が求められると予想します。一方で個人作業はテレワークになるため、場の使い方は二分化されていく。テレワーク前提で世の中が設計されていくと思うし、私たちもその想定でビジネスを展開するつもりです。

大沢:これまで無意識的に行なってきた通勤から開放されて、人々は“どこ”で“いつ”働くと生産性が高いかを考えるようになるでしょう。ただし、オフィスがなくなるわけでなく、仲間とのつながりや所属意識を育む場という在り方にシフトするのだと思います。実際に会うことで生まれる新たなイノベーションもあるはずでしょうし。例えば、フルリモートだった弊社が1年前にオフィスも用意したところ、社員はコミュニケーションのために集まるようになりました。そんな風に、会える場の価値が上がっていくのを、私は肌で感じています。

山口:確かに、withコロナでリアルな接触がなくなって『寂しい』という言葉をよく聞くようになりました。afterコロナでオンラインとオフラインが選択制になった時に、オフラインに求められるのは寂しさの解消やメンタルケアとしての機能だと思います。

三浦:今後はまさに、選択肢の多い世の中になると思います。ひとつの正解があるわけでなく、withコロナ以前に戻る企業もあれば、テレワークを推進する企業もあるはずだし、個人レベルでもafterコロナでリアルな場に残る人と残らない人とが出てくるでしょう。

働き方の変化が生活・遊びに与えるもの

新型コロナによって、働き方は短期間で半強制的に変容しつつある。3者には最後に、その変化が暮らしと遊びに及ぼす影響について考えていただいた。

秋沢:テレワークによって、仕事上の役割と個人の役割が近づくと思います。例えば、子供のいる居間でTV会議をしたら、その間は会社員と父親という役割が融合していると言えますね。今後はそんな流れが一層進むが、afterコロナでは、その日の業務内容に合わせて働く場を自由に選択する日が来るでしょう。また、本業と副業の境界が近づく可能性もあるでしょう。例えば、企画職を本職にしながら、キャンプ好きが高じて副業でプロキャンパーになる人とか。週5で会社に出勤していては実現不可能な、遊びながら仕事をし、仕事をしながら遊ぶという生き方があらわれてくると思います。

働く場を提供するふたりは、生き方が多様化する未来をどう捉えているのか。

山口:社員が自由な場で働くことを認める企業が増えたら、コワーキングスペースの用途も広がると思います。大企業のサテライトオフィスとして使われる可能性もあるので、多様なニーズに対応した場づくりをしていきたいです。

三浦:これまでアクティビティ・ベースド・ワーキングは社内に限られていましたが、今後は移動の制約を離れ、街や全世界に対象が拡大していくと思います。そのなかで、遊びながら働くことも現実になるでしょう。とはいえ、一人で働く寂しさや自宅作業の非効率さを知った人もいるので、オフィスに集まろうとする動きもあるはずです。さらに、働き方が多様になることで、複数の会社に所属する人があらわれたり、オフィス区画も複数の会社でシェアすることが一般的になってくると思います。個人と会社の在り方が変わる時代にもマッチした空間を提供していきたいと思います。

鼎談で度々登場したのは、「働き方の多様化」や「選択制の社会」というワードであった。まだまだ新型コロナの終息は見えないが、これからの働き方はひとつのモデルに集約されるようなものではなく、各自が考え、選び取るものになっていくのかもしれない。

登壇者プロフィール

秋沢祟夫
株式会社ニット代表取締役。青山学院大学卒業後、IT企業に入社し、営業・事業開発に関わり24歳で営業部長に。起業すると決めて32歳で退職したのち、起業の軸を探すために、東南アジアやアメリカを放浪する旅に出る。旅の最中にリモートワークを経験したことをきっかけに、HELP YOUサービスを立ち上げる。

山口若葉
NagatachoGRiD管理人。また、現在は個人事業主として全国空き家住み放題サービスのADDressや就活の当たり前を変えるオンライン就活等、変化する価値観に寄り添うサービスのイベント支援も行なう。

三浦圭太
ヒトカラメディアワークプロデュース事業部責任者。店舗/商業デザイン事務所を経て2008年から三井デザインテックにてチーフデザイナーとして商業施設、オフィスを中心としたデザインワークを手がける。株式会社ヒトカラメディアでは、事業責任者としてプランニング設計チームと移転戦略・不動産バリューアップチームを統括する。

この記事をシェアする