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レポート

withコロナ時代のプロスポーツの現状とスポーツにできること

2020.06.17

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今、スポーツにできることはなんだろう?プロスポーツの現状って今どうなってるの?
オンラインイベントレポート

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響を受け、プロスポーツチームは非常に厳しい運営状況に置かれている。スポーツの醍醐味は、ファンやサポーターが集まり、選手とともに息を切らしながら熱狂すること。ソーシャルディスタンスの求められるなかで、出来ることはかなり限られるはずだが、各スポーツ企業はどのような対策を行なっているのだろうか。

プロスポーツ各界の現在と今後の対策

2020年5月25日、「今、スポーツにできることはなんだろう?プロスポーツの現状って今どうなってるの?」というオンラインディスカッションが催された。ファシリテーターは、本企画を主催する株式会社インターパークのCOO・高井伸さん。

高井伸さん(以下、高井):株式会社インターパークは、マーケティングツールやマーケティングノウハウの提供によって他企業のサポートをしています。球団やスポーツチームの支援事業も行なっており、その応援企画の一環として当ウェブイベントを考案しました。緊急事態宣言が解消されても厳しい環境は続きますが、プロスポーツの現状について、チームや選手の現状と今後を、当事者に意見を聞きながら議論をしたいと思います。

座談会メンバーは、レバンガ北海道/代表取締役社長・折茂武彦さん、千葉ロッテマリーンズ/BtoB本部法人営業部第1グループ長・大石賢央さん、株式会社識学(福島ファイヤーボンズ親会社)/営業3課課長・井上剛さんだ。

高井:皆さんにはまず、自己紹介を兼ねて、新型コロナ発生以降の現状と今後の事業策を伺いたいです。

折茂武彦さん(以下、折茂):以前の北海道のチームが負債を抱えてリーグから除名になったため、2011年当初、レバンガはマイナスからのスタートでした。しかし、この10年間地域密着を心掛け、Bリーグ(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)では最も地域との交流イベントが多いチームのひとつになりました。子どもたちと給食を一緒に食べたりバスケをしたり、自分たちを知ってもらうという努力を積み重ねてきたわけです。また、スポンサーという枠を超え、パートナーシップを築くことを目指して、相手企業のために自分たちができることを考え、それぞれの経営課題に向き合い様々なご提案をしています。コロナ以降の距離に関する制限がある今は、オンラインを活用し、SNSを通じた発信やECサイトによるグッズ販売などをこれまで以上に推進しています。北海道は今、非常に厳しい状況ですが、クラブスローガンである『北海道から明日のガンバレを』届けていきたいと思っています。

大石賢央さん(以下、大石):私は2017年8月に千葉ロッテマリーンズに入社し、約3年間、主にスポンサーセールスを中心に仕事をしています。緊急事態宣言期間中(5月25日時点)、選手たちは自主練習、職員は在宅勤務にて業務を行っている。ファンに向けては、Instagramを活用し、ファンの質問に監督、選手が回答する質問コーナーの実施や、マリーンズの過去の名試合の中からファンに選択していただき、毎週YoutubeでLIVE配信等を実施し、ファンとのコミュニケーションを持つため、様々なことを実施しました。開幕も本日発表になったので、6/19のシーズン開幕に向けて、チーム練習や練習試合を行なっていく予定です。

井上剛さん(以下、井上):私は株式会社識学に所属しています。福島ファイヤーボンズとまだ直接的な関わりはないものの親会社として提携しているので、前に所属していた川崎フロンターレでの集客プロモーションの経験も活かして、皆さんにお話ししたいと思っています。現在福島ファイヤーボンズは、来期の体制を整え、チームの建て直しをしっかりと行なうことを目標に動き出しています。チームでの動きが取れない現状、選手たちには自主練習を課し、個々で立ててもらった目標達成を管理しているところです。識学としては参入初年度ですが、B1リーグに上がれることを目標にし、福島の皆さん喜んでもらえるチームにしたいです。

ファンという心の支えとプロスポーツビジネスの未来

高井:皆さん、コロナ禍でのビジネス運営において、ファンやサポーターとの関係強化に努められていることがわかりましたが、続いて、今後のスポーツの可能性についてお聞きしたいです。

大石:新型コロナの影響を受け、「一緒になってこの危機を乗り越えよう」という目的で発信した監督のメッセージに当チームのスポンサーの名前を記載したところ、とあるファンの方がSNS上で1社ずつスポンサーの会社紹介をしてくれていた。全社実施すると書いてくださっていたので、とても嬉しかったです。 一方、新型コロナによって、スポーツは密をつくることが売り上げ拡大につながるビジネスであることを痛感しました。観客動員数を増やすことが、売り上げの拡大、チームの強化、事業の拡大につながるという前提が完全にくずれたことを理解し、Withコロナ時代には、観客に依存しないビジネスモデルを作る必要がある。デジタル商材の開発や、これまでとは異なる新商品の開発等、新型コロナが終息したときに優位に立てるよう、考えていかないといけない。

井上:川崎フロンターレに所属していた時ですが、業界を盛り上げようとスポーツとは違うジャンルと結び付けた企画を発表したときに、サポーターの皆さんがチームを知ってもらおうとSNSで魅力を発信してくれたことが強く印象に残っています。その経験がスポーツの可能性を見つめ直す良い機会になりました。スポーツ観戦の価値は、チームが日常にある活動に関わることで酸いも甘いも一緒に乗り越えていくと思ってもらえる身近な存在感と同時に、熱狂や人々との一体感といった非日常を経験できることにあり、それはこの先も変わらないと思います。ただ、コロナ禍においては、チームを応援してくれる方との一体感や喜びあう熱狂を、どんな方法で維持したり演出したりできるかに対するアンテナを張っていかなければならないと思います。スポーツの社会的価値をさらに上げていくためには、以上のことを新事業のなかでも守り続けていくことが大切だと思っています。

折茂:私は27年間続けた現役を先シーズンで退きましたが、新型コロナの影響でホームでの最終戦は中止も、企画していた引退試合会見も延期中止になり、応援し続けてくださった方々に直接感謝を述べられませんでした。その一方で、コロナの影響を受ける前の試合では、しかし、今後の予定もまったく分からないなか、ファンや各クラブのブースターさんが声援やコール、特別な演出、クラウドファウンディングなど、様々な形でラストシーズンを労おうとしてくださいました。試行錯誤してくれました。本当に感謝していますし、この時受け取った想いをこれからのこの経験は今後の活動にも活かしたいと思っています。また、他のスポーツ界が立ち直ってくれることも、バスケットボールにとっての希望となっています。これまでのプロスポーツビジネスの収益は主に広告とチケットの二本柱でした。だったため、新型コロナがあってからは、予定していた収入はゼロになってしまいました。そのうちチケット収入は新型コロナウイルスの影響で昨季ホームゲームが9試合中止になったことにより、約1億円程度の想定していた売上がなくなってしまいました。会場をいかに満員にするかといったこれまでの目指すべき形から、いかにWithコロナの観戦スタイルを提供できるかを考えていかなければなりません。その依存を克服するためのビジネスチックな発案はまだ浮かんでおらず、会場が一体となって熱狂するライブというスポーツの魅力も損ないたくないので、本当に難しくて悩んでいるのが現状です。

プロスポーツ界から送るファンへのメッセージ

ライブ感を何よりの価値とするプロスポーツビジネス。しかし新型コロナ以降、あり方や楽しみ方を大きく変化させざるを得ない状況となった。本ディスカッションの終わりに、登壇者らはプロスポーツへの変わらぬ応援を募った。

大石:新型コロナによって、スポーツは不要不急のものだったことを自覚した反面、スポーツの価値や使命は、人生に豊かさや彩りを与える重要な役目を果たしていることも再確認することが出来ました。皆さんに元気や勇気を与えることが、我々プロ野球チームの大きな役目だと思っています。スポーツの先陣を切って野球がスタートする。是非注目していただきたいし、熱い応援をよろしくお願いいたします。

井上:識学は、バスケットボールの世界に飛び込んで間もない身として、教えていただいたり支えていただいたりしているところなので、まずは福島の地域の方に福島ファイヤーボンズの存在価値を認めてもらうことを目標に邁進していきたいと思います。応援よろしくお願いします。

折茂:競技を横断した今回の情報交換をとおして、Withコロナの今だからこそスポーツの力をより多くの方に伝えていきたいいかなければならないと思いますし、未来ある子どもたちや地域、社会のためにクラブチーム、バスケ業界、スポーツ全体で難局を乗り越えていかなければいけないと痛感いたしました。みなさん今後ともどうぞ応援のほどよろしくお願いいた致します。

登壇者

■折茂武彦
B.LEAGUE(B1)のレバンガ北海道の運営会社代表取締役社長。経営難により消滅危機に陥ったチームを北海道に残すべく新たにクラブを創設。2011年に代表となり、以降“選手兼社長”として、選手としてコートに立ち続けながら、クラブ運営も担ってきた。先日の5月3日に引退会見を開き、2019-20シーズン限りで27年の選手生活に幕を閉じた。これからは社長業に専念し、クラブのスローガンである『北海道から明日のガンバレを』届けるべく、様々な活動に取り組んでいく。
HP: https://www.levanga.com/https://www.levanga.com/

■大石賢央
2017年8月に千葉ロッテマリーンズ入社。プロ野球球団としては先進的にB2Bマーケティングに着手。2019年にインターパーク社と共同でインサイドセールスを立ち上げ独自のフレームワークを構築。スポンサー獲得営業の枠組みを超えたスポーツを活用した形での成長支援、課題解決の提案事業を行なっている。
HP: https://www.marines.co.jp/

■井上剛
ニューヨーク州立大学サリバンカウンティ校スポーツマネジメント学部卒業。J2リーグの水戸ホーリーホックのトップチームマネージャーを経て、J1リーグ所属川崎フロンターレに転職。ファンクラブ運営責任者、集客プロモーション総括責任者を歴任。2018年に5月から識学に入社。識学の理論とこれまでの経験で企業パフォーマンス向上に寄与。
HP: https://firebonds.jp/ (福島ファイヤーボンズ)
HP: https://corp.shikigaku.jp/ (株式会社識学)

■高井伸
B2BマーケティングのMA/SFA/CRMツール「クラウドサービスサスケ」のインターパーク社の取締役COO。マーケティング領域でベンチャー企業や大手企業の顧問も数社担当。現在オンラインだけで、B2Bプロダクトが売れるインサイドセールス手法を目下開発中。
HP: https://www.interpark.co.jp/
Twitter: @ttttttakai

 

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